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REACH
(Registration, Evaluation, Authorization
and Restriction of Chemicals)
                             


  REACH(Registration, Evaluation, Authorization and Restriction of Chemicals)は,平成19(2007)年6 月1 日から新しくス タートした,欧州における化学物質の総合的な登録・評価・認可・制限の制度である.その目的は,人の健康と環境の 保護,欧州化学産業の競争力の維持向上を目指している.
 この法律により生産者・輸入者は,生産品・輸入品の全化学物質(1 トン/年以上)の人類・地球環境への影響につ いて調査し,欧州化学物質庁への申請・登録を義務付けられる.また,使用を制限されるべき物質(欧州化学物質庁よ り部分的に公示済み)については,庁の承認が必要になる.この承認については,その物質を安全性がより高い代替物 質へ切り替えることが困難であり,かつ産業活動上使用が不可避な場合にのみ下りることになっている.さらに,この 承認を受けるためには,別物質への代替化検討の計画書の提出が求められる.日本や米国では新しく使用される化学物 質を規制するのに対して,REACH は既存の物質を含めて全化学物質を扱い,必要なデータが登録されていない物質は 製造や供給ができなくなる.欧州連合内で事業者が生産(輸入)する物質の量に応じて段階的に登録期限が定められて いる.年間1 000トン以上の物質や強い毒性物質などの登録期限は2010年12月1日であり,最終的に年間1トン以上の物 質はすべて2018 年6 月1日までに登録される計画である.
 特に空調機関連で知っておかなければならない規制は,成形品(アーティクル)中に含有する高懸念物質に対する規 制である.2008 年6 月30日に認可対象物質候補リスト案として16物質が提案され,パブリックコンサルテーションを経 た後,15 物質が認可対象物質候補リストとして,2008年10月28 日に発表された.REACH規則第33条より,高懸念物質 を成形品中に0.1 重量%以上含む場合には,川下ユーザ-への情報提供および消費者の要求があれば45 日以内に含有情 報を回答しなければならない.これらの義務は2008 年10 月28 日より発生している.そのため,各種成形品中の高懸念 物質含有情報を把握することが,REACH 規則対応で要求される.また,欧州連合内へ成形品を輸出していない場合で も,川下ユーザ-がその製品を使用し,成形品を製造,欧州連合内へ輸出している場合は,高懸念物質含有情報を要求 される可能性がある.
 近年,欧州ではWEEE指令・RoHS指令・Fガス規制と環境に関連した規制が次々と施行されている.我々空調・冷凍 に関連するものとして,常に情報を蓄積する必要があることを痛感した次第である.
 
 REACHに関連する詳細情報は,以下のウェブサイトを紹介する.
  欧州化学物質庁http://echa.europa.eu/ 環境省関連HP http://www.env.go.jp/chemi/reach/reach.html

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