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再生可能エネルギー
                             


 化石燃料(石油,天然ガスなど)やウランなどの埋蔵資源を燃料とするエネルギーは,資源の埋蔵量・採掘可能量に 限りがあり,いずれ枯渇する“枯渇性エネルギー”といえる.それに対して,水力,潮汐力,風力,太陽光,太陽熱, 地熱などは自然から絶えず補充され,人類のタイムスケールに比べて半永久的に枯渇しないエネルギーである.これら のエネルギーは枯渇性エネルギーに対して“再生可能エネルギー(renewable energy)”と呼ばれる.また,バイオマ ス燃料などの利用も再生可能エネルギーに含まれる.
 類義語として自然エネルギー,新エネルギー,代替エネルギーがある.「自然エネルギー」は再生可能エネルギーが 自然エネルギーに由来するという意味ではほぼ同義である.「新エネルギー」はほぼ日本だけの用語で,再生可能エネ ルギーのうち「新エネルギーの利用等の促進に関する特別措置法」(新エネルギー法)に定められた10 分類のものをい う.「代替エネルギー」は日本では「石油代替エネルギー」の意味で用いられ,石炭ガス化・天然ガス・原子力など(こ れらは枯渇性エネルギーである)を含む呼称である.
 再生可能エネルギーの特徴として,下記のような点が挙げられる.
 長所として
 ・枯渇しないため半永久的な利用が可能
 ・二酸化炭素などの温室効果ガスの排出量が少ない
 ・設備の耐用年数内で得られるエネルギー量に対する温室効果ガス排出量の比が,化石燃料を用いる場合に比べて非 常に少ない
 ・枯渇性エネルギーに比べて,有害物質の排出を削減できるものが多い
 ・放射性廃棄物を出さない
 短所や課題として
 ・資源が偏在するため任意の場所に設備を建設できない
 ・自然がエネルギー源であるため,出力が変動する
 ・環境基準による設置制限-国立公園内などでの開発制限など
 ・価格競争力の弱さ
 2011 年3 月11 日発生の東日本大震災による福島原子力発電所の事故により,安全性はもとより原子力発電そのもの が抜本的に問い直される格好となった.それによりエネルギー基本政策が見直され,中長期的に再生可能エネルギーへ の期待が高まるであろう.
 参考:ウィキペデイア(Wikipedia)

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