最近気になる用語 217
改正RoHS指令 いわゆるRoHS(Ⅱ)
                             


 EU(欧州連合)の環境規制の1 つである「電気および電子機器への特定有害物質の使用を制限する」RoHS 指令の新 版が2011 年7 月1 日(2011/65/EU)に発行された.[以下,新版をRoHS(Ⅱ),旧版をRoHS(Ⅰ)という]
 RoHS(Ⅱ)は,RoHS(Ⅰ)(2002/95/EC)に対して多くの重要な変更が行われており,改めて作り直されたものだが,気になる2 点を概説する.
 気になる点の1 つ目は「電気および電 子機器」の定義を変更したことである.そのためRoHS(Ⅱ)では,適用範囲が拡大される.

 定義(1)『電気および電子機器とは, 適切に作動するために電流または電 磁界に依存する機器,およびそのよう な電流および電磁界の発生,伝送,お よび測定をする機器であって,交流 1 000 V および直流1 500 V を超えない定格電圧で使用するように設計 された機器を意味する』これはRoHS(Ⅰ)と同じである.RoHS(Ⅱ) で追加された定義(2)『(1)項が目的とする「依存する」とは,電気 および電子機器に関して,少なくとも目的の1 つの機能を果たすた めに,電流または電磁界を必要とすることを意味する』によって範 囲が広がった.RoHS(Ⅰ)のFAQ で解説されていた『依存するとは, 電流が供給されない時には機器が基本(主要)機能を実行できない ことを意味する』の解釈が覆されたことになる.
 この定義の変更により,主要機能に電気が不要としてこれまで対 象外とされていたテディベア(熊のぬいぐるみ)や電子メロディ電 報なども対象製品となる可能性がある.ただし,これらの主要機能 に電気が不要の製品は,新しいカテゴリ11(その他の電気電子機 器)として2019 年から適用開始となる模様である.
 気になる点の2 つ目は,CE マークの貼付が義務付けられたことである.これによって適合宣言書(Declaration of Conformity:DoC)およびその根拠となる技術文書を作成することが求められている.
 CE マークを貼付するためには適合性評価を行うことが求められるが,その際に利用されるのが整合規格である.整合 規格とは,各指令で明記されていない具体的な技術基準を定めた規格であり,整合規格に適合することで各指令の必須 要求事項に適合したものと見なされる. 整合規格を利用するか否かは任意だが,利用しない場合には,第三者機関または独自で適合性を証明することが求め られる.なお,RoHS(Ⅱ)に関する整合規格は,2012 年3 月末現在,策定中であることが気になるところである.
 (注)本解説は2012 年3 月末時点の情報を基にしている.具体的実施内容については,最新情報を参照願いたい.
 参考資料:J-Net21[中小企業ビジネス支援サイト]http://j-net21.smrj.go.jp/
  経済産業省 http://www.meti.go.jp/policy/chemical_management/int/01RoHSsetsumei.pdf#search='RoHS(II)'

「最近気になる用語」
学会誌「冷凍」への掲載巻号一覧表