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 超微細気泡 
 
学会誌「冷凍」に掲載された記事を集めました。
当時の記事をそのまま掲載していますので古い内容や、当会の専門分野とは無関係な内容もあります。
また、お問い合わせに対しては答えられませんのでご了承下さい。


 ナノバブル,マイクロバブル,ファインバブルとも呼ばれる日本発の超微細気泡の生 成・応用技術が注目されている1). 泡といっても,直径は10 億分の1 m 程度で非常に小さく,目視することはできな い.泡がこのサイズまで小さくなる と,浮力よりもブラウン運動による影響が大きくなり,液面に向かって上昇し大気中 に飛散することなく水中に留まる ため,水中の泡の数と密度は変わることはない.泡は水に均一に拡散して保持される ため,泡中の気体を溶解限度以上 に水と一緒に運ぶことができる.
 この特徴を利用して,空気で超微細気泡を生成した水をトマトの水耕栽培に利用し, 実際に収穫量を増やしたケース2), 窒素で超微細気泡を生成した海水で魚を保存することによって,従来よりも長い期 間,魚の鮮度を保つことができた ケースが報告されている.また,泡表面が帯電することによる,水中浮遊物質(汚れ など)の吸着作用がある.そのた め,超微細気泡を含む液体は固体間界面への浸透性が高い3).この特徴を利用し て,高速道路のサービスエリアのトイ レ清掃などへの応用が進んでいる.
 以上の3 つの事例に留まらず,養殖業,農業などの食に関する分野,洗浄などの環境 分野,さらには健康美容,医療 などのライフサイエンス分野まで,産業横断的に応用研究が進められている.今後, 日本主導による国際標準化,なら びにさらなる応用研究の発展が期待されている.
 出 典
 1)NHK サイエンスZERO ホームページ,
 http://www.nhk.or.jp/zero/contents/dsp515.html (2015 年8 月).
 2)「ナノ・マイクロバブル技術に関する国際標準化報告書」,一般社団法人微細気 泡産業会,(平成25 年3 月).
 3)「平成26年度科学技術重要施策 アクションプランの重点的取組のうち「農林水 産系のファインバブル技術開発」の概要 と府省間連携の状況について」,経済産業省産業技術環境局産業基盤標準化推進室, (平成26 年3 月).

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