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空気冷凍サイクル
                             


  空気は、ODP、GWPが0で、毒性、可燃性もない、環境調和の観点から理想的な自然冷媒といえる。
  しかし空気は、臨界温度が極低温にあるため、一般冷凍の温度域において相変化を利用することができない。 したがって、空気冷凍サイクルは、圧縮、放熱、断熱膨張、吸熱、の顕熱のみの基本行程(放熱、吸熱行程に凝縮、蒸発を 伴わない)からなるブレイトンサイクルの一種である。システムは、圧縮機、放熱器、膨張機、吸熱器によって構成される。
 本冷凍サイクルは、蒸気圧縮式冷凍サイクルに比して一般的には動作係数は劣る。しかし、低温領域(おおよそ-60℃以下) になるほど両者の動作係数の差が実用上無くなること、及び性能の確保のためにシステム構成の変更がほとんどない事より、 本冷凍サイクルの方がコスト的に有利なシステムとなる。
 さらに最近、動作係数の向上を目的として、システムに吸着器を付加し、圧縮空気の持つエネルギーを動作エネルギー とし、断熱膨張後の吸熱行程で顕熱利用に加え蒸発潜熱をも利用することによって2倍以上の性能改善が可能であるという 研究提案もなされている。
 

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