ビトリフィケーション <Br>氷晶形成なしの‐196℃低温保存
ビトリフィケーション
氷晶形成なしの‐196℃低温保存
高橋恒夫

  従来細胞の凍結保存は1M程度のグリセリンやジメチルスルフォキシドの 凍害保護物質を添加し、緩速凍結することでなされてきた。近年高濃度の凍害保護物質の 存在下で、細胞の内外とも氷晶なしにガラス化(ビトリフィケーション)状態で低温保存 する方法が開発されてきた。ビトリフィケーション法では冷却速度の調整を必要とせず簡便 な方法であるが、一方で高濃度の保護剤による化学毒性、復温時の氷晶形成など課題を残している。 動物胚保存への適用は可能であるが、この方法の本来の対象であった臓器保存はまだ成功に 至っていない。本報ではこの極めて魅力的なビトリフィケーション法について、その原理を 解説するとともにその研究の現状を報告する。