自己血の冷凍保存(赤血球・血小板・血漿) <Br>心臓血管外科領域への冷凍保存自己血の応用
自己血の冷凍保存(赤血球・血小板・血漿)
心臓血管外科領域への冷凍保存自己血の応用
海老根東雄

  輸血を必要とする心臓血管系手術の増加に伴い、術後の肝炎発生が増加している。 このような輸血による術後の合併症を防止するために、1981年より我々は自己血の冷凍保存と その使用を開始した。対象は東邦大学大橋病院心臓血管外科で自己・同種冷凍保存血を用いて 行なった心臓血管系疾患手術症例152例である。
術前患者自身の血液をを何回かに分けて採取し、直ちに遠心分離し赤血球・血小板は冷凍 防止剤を加えて液体窒素内(-196℃)に、血漿はそのまま電気冷凍庫内(-80℃)に保存し た。急速冷凍法で行なった自己赤血球と血小板の保存とその解凍による臨床応用は」我々が最初である。
  術後輸血による肝炎発生は冷凍同種血を含む冷凍・非冷凍自己血使用では認められず、 更に非冷凍同種血を加えて使用した症例に認められた。出血量は、対外循環時間が延長すればするほど増量し、 この場合、冷凍同種血を含む自己血は不足となり、これを補うため非冷凍同種血使用を余儀なくされる。
  冷凍保存自己血はより優れた血液製剤であり、患者は肝炎などの感染を起こさず、また免疫 反応を生ぜず、手術後に最適な血液である。この冷凍保存自己血と手術に備えた、また手術時に行なう自己血 温存のための諸技術の行使が100%自己血のみ使用による手術を可能とするものであると考えられる。