魚類精液の凍結保存
魚類精液の凍結保存
黒倉 寿

  魚類精液の凍結保存に関する研究の現状を紹介した。 研究の対象となった魚類は59種以上にのぼると考えられるが、 その半数は、最近10年間に行なわれたものであり、個々の魚類の 凍結保存技術開発の研究としては大いに発展している。しかし魚全体 としてみると、対象とされた魚は一部であり、その成果は必ずしも魚類全体を 代表していない。一方、魚類精子、精液に関する比較生理学的研究も、現在 その緒についたばかりであり、魚種間の低温、凍結耐性の違いを説明できる段階に 至っていない。低温生物学の立場からは、魚類は多様性に富み、受精率によって 容易に、精子の受精能力を評価できることから、基礎研究の材料として有効なものと 考えられる。その立場から比較精子学的な研究が今後重要と考えられる。