冷凍・空調の分野では省エネルギーや環境への配慮を意識した技術への対応が求め続けられて来たが,
京都議定書の発効に伴い,冷凍・空調機器のさらなる効率の向上や環境負荷低減が求められている.
このような社会の要求に応えるためには,ブラインなどの二次熱媒体にも従来に無い機能を付加させる必要がある.
二次熱媒体に多元的な機能性を付加したものを本特集号では機能性熱流体と呼んでいる.機能性熱流体の技術用語は,
日本機械学会誌(第98巻925号,141頁−142頁,1995年12月号)掲載の「機能性熱流体の現状と将来性」
(著者:稲葉英男)で定義されており,冷凍・空調分野では二次熱媒体の新たな展開として期待されている.
本特集号では,二次熱媒体を省エネルギー技術,環境負荷低減技術に対応できる機能性熱流体へと発展させ,
機能性熱流体分野の新展開に寄与することを目的として,流動抵抗軽減剤等を添加した熱媒体や氷スラリーを始めと
する相変化潜熱スラリー等の熱伝達・流動機構およびその応用技術に焦点を当てた研究開発に関する幅広い研究報告を募集した.
掲載の運びとなった論文は大学で行われた研究成果に基づくものであるが,すでに産学連携が行われている技術もあり,
実用化に向けて機能性熱流体対応機器の開発も行われている.いずれも新規性があり,今後の発展が期待される内容であるが,
一方で用語の定義や評価法に関して審査の段階でも議論があった.特に,熱伝達・流動機構や固液共存相における熱物性値の
評価方法は今後も議論が必要である.融解・凝固潜熱,粘性係数などを用いた流動性の評価,さらには冷却面と固相との付着力等,
掲載された論文の真の評価はこの分野における研究の発展を待つ必要がある.
本特集号は当初,岡山大学の稲葉英男副学長にチーフエディターを依頼し,特集号の案内を担当していただいた
経緯があるが,多方面で活躍されている稲葉副学長に代わって筆者がチーフエディターを務めることになった.
稲葉副学長,本特集号に協力・尽力を賜りました著者,校閲委員,エディターの皆様に深甚なる謝意を表するとともに,
近い将来,機能性熱流体分野の研究が進み,新たな特集号が組まれることを期待したい.
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