低温における微生物の挙動 副題:細胞膜資質と脂肪酸に関連して
低温における微生物の挙動
副題:細胞膜資質と脂肪酸に関連して
石田祐三郎

  細菌の増殖をコントロールしている1つの要因として細胞膜がある。 細胞膜の主な機能はタンパク質によるが、タンパク質が機能を十分にはたすには 、それを取りまく資質の流動性が必要条件となる。一般に脂質は温度の低下によって その物理的状態が可逆的に液晶からゲルへと相移転し、流動性が失われる。 その変化に関わるのは主に脂質を構成する脂肪酸の不飽和や炭素鎖数などで、低温下で 液晶状態を保つのには不飽和脂肪酸が多いほど、炭素鎖数が短いほど有利である。
  本総説では、温度低下に伴って細菌細胞膜のリン酸脂質とそれを 構成する脂肪酸の種類がどのように変化するか、また、その変動によって膜の流動性 はどう変わるのか、流動性と増殖の関わりはどうかなどをまとめた。