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通年エネルギー消費効率(APF)
                             

<Br>  近年,地球全体での環境問題が注目されており,各分野で省エネルギーが要求されている.法律面の整備も進み,「エ ネルギーの使用の合理化に関する法律」(通称省エネ法)も施行された.その中で,省エネルギー基準の目標値を定めた トップランナー方式が採用され,エアコン,冷蔵庫など家庭用をはじめ様々な機器はさらなる高効率化が要求されている.
  エアコンにおける省エネルギーの指標は,式(1)のエネルギー消費効率: COP(Coefficient of Performance)を使って, 式(2)のように,冷房・暖房それぞれの定格能力運転時におけるエネルギー消費効率の平均で表示を行っていた.
 
  COP = 能力/消費電力   …(1)
 
冷暖平均COP = (冷房COP +暖房COP)/2   …(2)
 
  つまり,COPは定格冷房・定格暖房時の消費電力1 kW当りの冷房・暖房能力を表わしているが,ある一定の温度条件 で運転した時の1 点の性能ポイントであった.しかし,エアコンの実使用においては,外気温度の変化により,冷房・ 暖房に必要な能力,消費電力は変化するので,季節に応じたエアコンの実運転状況は反映されていなかった.そこで, 新しい省エネルギーの指標として導入されたのが,通年エネルギー消費効率(APF : Annual Performance Factor)であ る.通年エネルギー消費効率は,1 年間を通してある一定条件のもとにエアコンを運転したときの,消費電力1 kW 当り の冷房・暖房能力を表わすもので,式(3)のように,冷房期間および暖房期間を通じて室内側空気から除去する熱量お よび室内空気に加えられた熱量の総和と同期間内に消費された総電力との比で表わされる.
APF=(冷房期間中に発揮した能力の総和+ 暖房期間中に発揮した能力の総和)
(冷房期間中の消費電力量の総和+暖房期間中の消費電力量の総和)

…(3)
 この新しい指標:通年エネルギー消費効率(APF)により,より実使用状態に近い省エネルギー性の評価を行うことができる.

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