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BCAA
                             

 BCAA とは,Branched Chain Amino Acid(分岐鎖アミノ酸)のことである.タンパク質を構成するアミノ酸のうち, ヒトの体内で合成ができず食品から摂取する必要のあるものは,必須アミノ酸といわれ9 種類ある.BCAA はこれらの 中で,分子構造で分岐鎖を有するバリン,ロイシン,イソロイシンのことである.
 分岐鎖アミノ酸は,筋肉タンパク質であるアクチン,ミオシンの主要構成アミノ酸であり,また筋肉中で代謝され, 筋肉のエネルギー源にもなっている.このことから,分岐鎖アミノ酸の運動生理学的な効果についての研究が盛んに行 われ,現在,スポーツサプリメントとしていくつもの商品が開発されている.サプリメントとしては,分岐鎖アミノ酸 を添加したスポーツドリンクから,アミノ酸そのものを一定割合で混合し,フレーバーのみ添加したアミノ酸試薬に近 い状態のものまで商品化されている.分岐鎖アミノ酸は,表1に示すように肉,魚,卵,牛乳などタンパク質の多い食 品に多く含まれており,日常このような食品から摂取している.
 分岐鎖アミノ酸を摂取するうえでの一番の欠点はバリン,ロイシン,イソロイシンとも苦味を有することである.日 常,肉や魚など食品から摂取する場合においては分岐鎖アミノ酸の苦味が気になることはほとんどないが,試薬に近い 状態でサプリメントとして摂取する場合は苦味が問題となる.そこで,苦味をマスキングするために,柑橘系などのフ レーバーを添加したり,疲労回復作用のあるクエン酸を添加し,クエン酸の酸味と柑橘系のフレーバーで苦味をマスキ ングするなどの工夫がなされている.一方,分岐鎖アミノ酸の苦味が好ましい味として関与している場合もある.美味 な水産物の代表であるウニである.バリンの苦味はウニのおいしさに関与しており,ロイシンとイソロイシンもバリン ほど強くないが,同様にウニの独特な呈味への関与の可能性があることが,呈味成分分析と官能評価から明らかにされ ている.
 これらのアミノ酸には立体異性体としてL 型とD 型が存在し,通常,L-,D-表記のない場合はL 型を示す.前述のと おり,通常BCAAはL型を指し,苦味を有するが,これらのD型はすべて強い甘味を有する.
 また,疎水性であることも,利用する上で不都合である.ドリンクにする場合,水に溶けにくいという問題があり, 粉末状サプリメントの場合,少量の水では完全に溶けないという不具合が生じる.最近では技術も進み,BCAA 入りス ポーツドリンクも各種店頭に並んでいる.
 最近,メタボリックシンドローム予防などよりダイエットへの関心も高まる中,BCAA ダイエットなどというダイエ ット方法も話題である.しかし,BCAA の摂取のみでダイエットができるわけではない.運動を取り入れ,BCAA 摂取 により運動で使われた筋肉の回復と強化を行い,筋肉の発達を促し,基礎代謝量を向上することにより効率よくエネル ギーを消費し,結果として太りにくい体をつくるというのが原理である.
 

表1 各食品中のバリン,ロイシン,イソロイシンの含量
  (タンパク質1 g あたりのmg数)
   
  アジイワシマグロ鶏卵大豆ウニ
バリン525350685246
ロイシン807975888258
イソロイシン474644555138

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