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PM2.5(微小粒子状物質) 学会誌「冷凍」に掲載された記事を集めました。 当時の記事をそのまま掲載していますので古い内容もあります。 また、お問い合わせに対しては答えられませんのでご了承下さい |
大気中に浮遊する粒子状物質(Particulate Matter,PM)のうち,粒子径が概ね2.5 μm以下のものをいう.その成分 には,炭素成分,硝酸塩,硫酸塩,アンモニウム塩のほか,ケイ素,ナトリウム,ア ルミニウムなどの無機元素などが 含まれており,粒径も様々で,地域や季節,気象条件などによって組成も変動する.
発生メカニズムとしては,化石燃料の燃焼などによって直接排出されるもの(一次生 成)と,大気中での化学反応によっ て生成されたもの(二次生成)とがあり,一次生成粒子の発生源としては,ボイラや 焼却炉などからのばい煙,コークス 炉などからの粉塵,自動車,船舶,航空機からの排気などのほかに,土壌,海洋,火 山などの自然由来のものや家庭用 の燃焼機器,喫煙も発生源である.二次生成粒子は,これらの一次発生源の燃焼過程 で排出される硫黄酸化物(SOx)や 窒素酸化物(NOx)のほかに,溶剤・塗料の使用時や石油取扱施設からの蒸発,森林 などから排出される揮発性有機化合 物(VOC)等のガス状物質が,大気中で光やオゾンと反応して生成される.
微小粒子状物資(PM2.5)の粒子径は髪の毛の太さの30 分の1 程度と非常に小さいた め,肺の奥深くまで入りやすく, 喘息や気管支炎などの呼吸器系疾患や肺がんのリスク上昇といった循環器系疾患など の健康面での影響が懸念されて いる.
これらの状況を踏まえて,日本におけるPM2.5 の環境基準として環境基本法で「1 年 平均値が15 μg/m3 以下で,かつ 1 日平均値が35 μg/m3 以下であること」とされている.
2013 年1 月,西日本の広い地域でこの環境基準を超える粒子状物質の濃度が一時的 に観測され,ニュースなどで大き く報じられて,「PM2.5」という言葉が広く知られるようになった.今回のPM2.5 濃 度上昇は,中国の深刻な大気汚染の 影響が指摘されており,いわゆる「越境汚染」との見方が強い.
参考資料 環境省ホームページ http://www.env.go.jp/air/osen/pm/info.html
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