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ISO 9000S
                             


  ISO(国際標準化機構)によって1987年に制定された「品質管理及び品質保証システムに関する国際規格」である。
日本では、1991年にJIS化し制定された。1994年に改訂版が発行され、現在それが運用されている。
 この規格は制定当初、購入者(顧客)と供給者(製造、販売)の二者間の取引きの際に用いられていたが、その後、 公認の第三者審査登録機関の審査に合格すると「認定取得企業リスト」に登録・公表され、商取引きの国際パスポートと なることから活発化した。その背景には、1993年1月の欧州市場統合が引き金となり、製品等の円滑な流通を実現する 一環として、この規格を活用した品質保証システム審査登録制度が急速に進んだ事情がある。
 ISO9000Sは下表のように5つの規格で構成されている。(Sはシリーズの意)
 区 分  番 号  適 用 
規格の選択と使い方 9000-1 選択及び使用の指針
外部品質保証
(品質保証モデル)
  9001 設計~付帯サービス
  9002 製造、据付、付帯サービス
  9003 最終検査・試験
内部品質管理  9004-1 指針

     

 各企業が認証取得を目指しているのはISO9001~9003であり、企業の業務形態、目的によっていずれかを選択する。 この規格は製品そのものの規格ではなく、製品やサービスを作り出すプロセスに関する規格であることが特徴の一つである。
 ISO9001は設計~付帯サービスまで、すなわち生産及びサービス活動の全てを包含する品質保証モデルである。 この規格には経営者の責任、品質システム、契約内容の確認、設計管理、工程管理、文書及びデータの管理、購買、内部 品質監査、教育・訓練など、20項目にわたる要求事項が記述されている。要求事項の中では、関係する全ての人々の責任 と権限を明確にすること、各業務の相互関係や時系列的フローを明確にすること、更にそれについて関係者の共通の 理解を確実にするため、徹底した文書化が求められている。従って、品質保証システムを構成する品質マニュアルや 各種手順書は、いわゆる5W1H方式による記述とする必要がある。
 認定機関が公認した審査登録機関による審査は、文書化された品質保証システムが、ISO9000Sの要求事項に 照らして妥当であるかどうかをチェックして、行われる。
 日本における審査登録制度は、次の通りである。
認定機関(1カ国1機関)
・(財)日本適合性認定協会(JAB)
 
審査登録機関
・日本品質保証機構(JQA)・日本検査キューエイ㈱(JICQA)・日本ガス機器検査協会(JIA)
・日本電気用品試験所(JET)・日本電子部品信頼性センター(RCJ)・日本海事協会(NK)
・日本海事検定キューエイ(NKKK)・高圧ガス保安協会(KHK)・日本化学キューエイ㈱(JCQA)他

 認証取得後、審査登録機関による6ヶ月あるいは1年毎の定期審査及び3年毎の更新審査が行われ、認証取得した 品質保証システムの有効性がチェックされる。これもISO9000Sの大きな特徴である。
 認証取得状況は、日本国内で約7000件、全世界では約200 000件と言われている。
(「冷凍」1998年12月号掲載)

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