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 日本食品標準成分表改訂 
 
学会誌「冷凍」に掲載された記事を集めました。
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 本学会会員の多くは,小学校家庭科の授業で初めて食物に関する学習をしたであろ う.筆者は中学高校における男子 の家庭科教育が義務ではない世代であるため(1993 年に中学,1995 年に高校家庭科 の男女必修化),食品成分の詳細に ついては大学講義で初めて学習した.現在の初等・中等教育においては,小中学校の 家庭科「健康と食生活」の単元に おいて五大栄養素(糖質,脂質,たんぱく質,無機質,ビタミン)について成分の定 性的な内容,食事バランスガイド を用いた食事計画などを学習する.高校の家庭総合では,五大栄養素についてより深 い内容,たとえば「アラキドン酸 は体内でも合成されるが,必要量に満たないために食品からとる必要があり,リノー ル酸,α-リノレン酸,アラキドン 酸などの脂肪酸を必須脂肪酸と呼ぶ」や「ライフステージごとの食事摂取基準」など のように,より専門的な内容を学 習する.これらの食品成分に関する定量的な情報を提供しているのが「日本食品標準 成分表」である.
 日本食品標準成分表は,戦後の国民栄養改善の見地から,食品に含まれる栄養成分の 基礎的データ集として,1950 年 に初めてとりまとめられた1).その後,60 年以上にわたり改訂・公表されている. 2015 年12 月に2015 年版(七訂)2) が5 年ぶりに改訂のうえ発表された3).今回の改訂では15 年ぶりに313 食品が増加 した.具体的には,日本の伝統的な 食品(刺身,天ぷら等),健康志向を反映した食品(えごま油,ヨーグルト(低脂肪 無糖・無脂肪無糖),減塩しょうゆ, 減塩みそ等),アレルギーに対応した食品(米粉,米粉パン,米粉めん等),調理後 食品(揚げ物(から揚げ,魚のフラ イ),油抜き(油揚げ),肉・魚・野菜などのゆで,焼き,油いため等),食べる機 会が増えた食品(菓子パン,キウイフ ルーツ(黄肉種)等),調味料(顆粒中華だし,おでん用だし,ホワイトソース,和 風・ごまドレッシング等),食品の 細分化(ひじき(ステンレス釜,鉄釜)等)が追加された.
 今回の改訂では,原料となる海藻をステンレス釜で加工したひじきは,鉄釜加工に比 べて鉄含有量が少ないことが明 らかとなった4).すなわち,日本人に広く知られている「ひじき=鉄分豊富」とい う情報は,加工時に用いた鉄釜由来 であることが示され話題となった.また,切り干し大根についても,使用する包丁の 材質によって成分含有量が異なる ことが示されている.そのほかに,アミノ酸成分表(337 → 1 558 食品に増加), 脂肪酸成分表(1 262 → 1 782 食品に増 加)の収載食品の拡充に加え,新たに炭水化物成分表(854 食品)が追加され,別冊 が3 冊となった.さらに社会のニー ズに対応するために,各成分表のホームページによる情報発信を,従来の日本語のみ ならず英語版の公開を開始した等, 改良が施された.
 改訂された日本食品標準成分表を用いて自らの食生活を振り返るとともに,夏ばて予 防のメニューを,特定成分の含 有量,食事摂取基準などの情報をもとにシミュレーションしてみても楽しいかもしれ ない.
 
 参考資料:
 1)食品成分データベース,http://fooddb.mext.go.jp/history.pl (2016 年5月).
 2)日本食品標準成分表2015 年度(七訂),
 http://www.mext.go.jp/a_menu/syokuhinseibun/1365297.htm (2016 年5 月).
 3)安井成美:日本家政学会誌,3(67),187-191(2016).
 4)日本ひじき協議会:「ひじきの鉄分について」,
 http://www.hijiki.org/html/content/about.html (2016 年5 月).

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