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高圧ガスとなる液化ガス 
 
学会誌「冷凍」に掲載された記事を集めました。
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高圧ガス保安法における液化ガスの定義については,2016 年に変更となっている.変更前は「①大気圧下における沸 点が 40℃以下のものまたは②大気圧下における沸点が 40℃を超える液体が,その沸点以上にある場合のものをいう.」 という定義であったが,②の項目に圧力の要素が加わり,「②大気圧下における沸点が 40℃を超える液体が,その沸点 以上かつ 1MPa 以上の状態にある場合のものをいう」とされている.これは,沸点が 40℃を超える液体は開放されれ ば常温では液体となるため,高圧ガスのリスクを考える場合には実際の容器や設備にかかる圧力を考慮する必要がある との判断からである.
一方,同法での高圧ガスとなる液化ガスの定義は,「常用の温度において圧力が 0.2MPa 以上あって現にその圧力が 0.2MPa 以上であるものまたは圧力が 0.2MPa となる温度が 35℃以下のもの」とされている. 沸点が 40℃以下の場合は高圧ガスの定義のみで考えれば良いが,40℃を超す場合は少々複雑となってくるため,水を 例に高圧ガスとなる液化ガスの範囲を説明すると以下のとおりとなる.
(1)水は大気圧沸点が 100℃と「40℃を超える」ため,1MPa 以上および 100℃以上の場合「液化ガス」となり,そ れ以外はそもそも「液化ガス」とみなされない.
(2)液化ガスの高圧ガス判断基準は「常用の温度で 0.2MPa 以上」で,これは「常用温度の飽和圧力が 0.2MPa 以上」 と解される.水の 0.2MPa の飽和温度は 133℃なので,「133℃以上で 1MPa 以上」が高圧ガスとなる. 133℃以上でも 1MPa 未満では,そもそも液化ガスではないため,高圧ガス保安法の所掌外となる.
以上により,水の場合は下図の網掛け部分が高圧ガスとなる液化ガスである.

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