69.    氷室   


   NHK朝の連ドラ「私の青空」に築地の氷屋さんが取り上げられている。氷屋さんは以前、 社名を「○○氷室」というものが多かった。冷凍装置が普及していない頃の貯氷庫は 周囲をおが屑で断熱し、さらに氷にもおが屑をまぶして保管していた。1本135kgの 氷を半切・4ツ切・8ツ切にして業務用に、1貫目(3.75kg)単位で家庭冷蔵庫用に 配達されていた。
    広辞苑によると「氷を夏まで貯蔵しておくため、特別に装置した室または山陰の穴.陰暦 6月1日にその氷を禁中に献じた」とあり、「氷室の節会(ひむろのせちえ):昔の 禁中の行事の一つ.氷室の氷を6月1日に取り出して群人に贈った儀式」とあった。
     また、平凡社・世界の百科事典によると氷の頃に「日本では氷を古くは〈ひ〉といった。 平安時代に編集の〈延喜式〉によると、朝廷では冬、山城・大和・河内・近江・丹波・に 氷室(ひむろ)を設け、宮中ではその氷を4月朔(ついたち)から9月晦(つごもり)まで 用いる.と定めている。また、氷に飲み料と冷やし料を区別してあった。さらに元旦節会 (せちえ)の儀式のうち、氷室の氷の模様を宮内省から奏上することも行なわれた。」と ある。
     氷室およびこの関連の記事については学会誌「冷凍」に掲載されているので参考にされたい。
「冷凍」掲載号:S60年10月,S63年8月,H1年4月,11月,H6年1月~8・11月, H7年2月,H8年4・5・8月,H9年8・12月,H11年6・8月,H12年6月