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期間成績係数
                             

(1)期間成績係数
  1997年12月に温暖化防止京都会議が開催され、地球温暖化防止対策として温室効果ガス削減目標が出され、その中で CO2排出量削減が重要視されていることはご存知のとおりだと思う。
 CO2排出量削減の方策として省エネルギーが叫ばれ、冷凍機としても省エネルギー機器の採用が求められている。 その省エネルギーの指標として成績係数(COP=能力(kW)/消費電力(kW))があるが、この成績係数も 期間を通じては変化していく。たとえば、冷却時として100%負荷の場合とそれより少ない負荷時とでは成績係数も違い、 期間を通じた成績係数の比較が必要になってくる。一般的な空調用途では100%負荷時の時間は少なく、75~50%負荷時の 時間が多くなる。期間成績係数とは期間を通じた冷凍機の成績係数をいい、現在ではその規格として米国のARI(米国 冷凍空調工業会)550/590/ 1998年度版で規程されたIPLV(Integrated Part Load Value)があるので紹介する。
 まず計算式としては   
  IPLV=0.01×A + 0.42×B + 0.45×C + 0.12×D
 ここで
 A=100%負荷時のCOP  B=75%負荷時のCOP   C=50%負荷時のCOP   D=25%負荷時のCOP
を表す。意味としては、冷却運転時で100%負荷時は年間の運転時間の1%,75%負荷時は年間の運転時間の42%, 50%負荷時は年間の運転時間の45%,25%負荷時は年間の運転時間の12%となり、その合計を表している。 この運転時間の率は米国の29都市のチラーが採用されている建物のデータから決められたものである。この期間成績係数により、 年間での冷却運転効率が良いかどうかの指標となる。現在、日本での規格はないが、作成中である。
 期間成績係数のほかに、日本では期間消費電力量の算出基準が日本冷凍空調工業会の規格でルームエアコンディショナー (JRA4046:1999)、パッケージエアコンディショナー(JRA4048:2001)について計算方法を定めている。


(2)地球温暖化対策計画書制度
  期間成績係数とは別であるが、地球温暖化対策として東京都において2005年4月に新「地球温暖化対策計画書制度」が 施行されたので、概略を紹介する。
 制度の目的としては、地球温暖化対策と都市の温暖化(ヒートアイランド)対策を目指している。制度の対象者は CO2などの温室効果ガスを排出している全ての事業者が対象で、特に排出量が相当多い事業所(燃料などの原油換算使用量 年間1500kL以上または電気の使用量年間600万kWh以上)が「地球温暖化対策事業者」となり、初年度は計画の作成で、 2005年度4月末に「排出概況確認書」の提出・公表、8月末に「地球温暖化対策計画書(案)」の提出、12月末 「地球温暖化対策計画書」の提出・公表、2~6年度は実施状況の報告となり、規制的手法ではなく誘導的手法(評価・公表) により温室効果ガスの削減を目指すもので、「地球温暖化対策事業者」と「東京都」が相互の協力関係で行うものである。


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