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レジオネラ菌
                             


 レジオネラ菌が、24時間風呂の装置で問題となったニュースを覚えておられる方も多いであろう。 風呂だけでなく、冷却塔水からの感染も多く報告されているので概説する。
 レジオネラ菌は、自然界の土壌や淡水に生息し、日常世界で接する可能性が高いが、健康な成人が 発症することは少ないと言われている。しかし免疫力の弱い新生児や高齢者、病人などが感染すると咳や 発熱、悪寒などの症状が表われることがある。レジオネラ菌の感染によって起こる疾患をレジオネラ症と言い、 病形は表1に示すようにレジオネラ肺炎とポンティアック熱とに分けられる。レジオネラ肺炎は、有効な治療が されないと死亡する場合もある怖い病気である。レジオネラ菌の顕微鏡写真を図1に示す。
  
 表 1 レジオネラ症の病形と症状
 病 形   症 状 
レジオネラ肺炎
高熱、悪寒、筋肉痛、吐き気、意識障害などを主症状とする
肺炎で重症になる場合もある
ポンティアック熱
インフルエンザに似た非肺炎型熱性疾患で悪寒、発熱がみられ、一般に軽症で、数日で軽快する。


 図 1 レジオネラ菌 1)

 1976年米国フィラデルフィア市のホテルで開催された在郷軍人総会の参加者を中心に221名の 感染者を出し、29名を死亡 2)させたことが発見の発端であり、在郷軍人病とも呼ばれている。 レジオネラの名前の由来は、在郷軍人(平時は民間にあって生業につき、戦時、事変に際しては必要に応じて 召集され国防に任ずべき予備役、帰休兵、退役などの軍人 3))=Legion(レジオン)からである。
 レジオネラ菌と水温の関係を図2に示す。レジオネラ菌は、水温20〜45℃の範囲で活発に活動し、 特に37〜41℃がもっとも繁殖に適している。冷却塔水の温度範囲であり、冷凍空調技術者が特に気をつけなければ ならない理由である。冷却塔の維持管理は、“化学的に薬剤を投入し殺菌や増殖を防止する方法”と“冷却塔内部の 汚れをデッキブラシなどで物理的に洗浄する方法”を併用して行う必要がある。
 レジオネラ菌の感染源は、冷却塔、循環式風呂、池の水などである。レジオネラ菌に感染された水の飛沫を 吸い込んだり、また汚染水そのものを吸引することが感染の主な原因となっている。特に、冷却塔の清掃時には、 冷却水のエアろゾルを吸入しないよう、マスクなどの保護具を着用することを忘れてはならない。
図 2 レジオネラ菌と水温の関係 4)
   文 献
1)東京都健康安全研究センターのホームページ http://www.tokyo-eiken.go.jp/topics/legionel/legionel.html
2)東京都健康安全研究センターのホームページ http://www.tokyo-eiken.go.jp/topics/legionel/LQA1j.html
3)新村出編:「広辞苑 第四版」,p.997,岩波書店,東京(1991)
4)ASHRAE Journal january 1955,ASHRAE, USA(1995).

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